役者・平田広明

東京芸術劇場にて木山事務所の『人間万事漱石の自転車』は公演された。
客席と舞台はとても近く役者の息づかいまで聞こえてきそうでなんだか緊張した。とても濃密な時間だった。
平田さんの漱石はとてもチャーミングで愛すべき人間で、漱石という人間の魅力と平田広明という役者の魅力を同時に感じたりした。
舞台のセットがとても合理的で面白くて。場面換えの度にあたしは感心したりしてて。この芝居は漱石と子規の書簡を舞台化したものなのだが、ロンドンの漱石の書斎、そして脇の階段を上ったところに日本で病の床についている子規の部屋がある。そして場面場面の舞台セットも芝居と同時進行で変わっていく。本棚や机、椅子を黒子でもなんでもない普通の格好をした人々数人が運んでいくのだ。漱石の部屋はたちまちロンドンの狭くて暗い道になったりする。しかもそのセットを移動させている人物と漱石がぶつかったりして、それがまた人にぶつかってしまう程狭い道という表現になったりして。
いい意味で手作り感にあふれていてもう一度みたいと思わせる芝居だった。


満足×2な一日。