異形の宴

人形師、ホリ・ヒロシ氏の展覧会に行ってきた。初日の今日の人形舞は「松の寿」おめでたい舞だった。
人形に表情があって、圧倒された。
展覧会場に入った瞬間からクーラーの冷気とは違った寒さを感じて。あたしは7分袖のトップスを着ていたにもかかわらず、ぞくぞくと寒気を感じてて大変だった。
白い衣装をまとい雅な翼をもった月姫に特に心を奪われ、何度も何度もじっと見つめてた。月姫も迷惑だったろうね(笑)
三島の黒蜥蜴の人形の前でも長時間足をとめた。緑川婦人の着物の柄が鴉ってあたりに思わずにやり。そして蜥蜴のブローチにも。
谷崎の細雪の四女、妙子は口許は微笑をたたえるのだけれど、他の三人の姉妹と明らかに違ってて異様だった。あたしは細雪を読んでないのでわからなかったのだけど、この四女だけ父親の愛情が不足してたんだよね?この子だけちょっと異様だったよ。笑顔なのにね。凄みを感じた。
そして卒塔婆小町からは壮絶な執念と悲しみ、のようなものを感じた。決して人間のように作られているわけではないのに(等身とかありえないし)今にも動き出しそうなリアルさはなんなのだろう?
光源氏の人形の前ではお友達と「わー、たらしの顔だ」「ああ、たらしの顔してるー」と納得したり。女は皆鬼なのではないか?と六条御息所の人形の前で思ったりもした。彼岸花って彼女に似合いすぎ。毒の花。
ホリ・ヒロシ氏ご本人にサインを頂いてホクホクで帰ってきた。その場では気付かなかったんだけど、氏のサインは金色に輝いてて(いや、つまり金色のペンで書かれてたってだけなんだけど)やるなあと思った(笑)
ちなみに恋月姫のサインは銀色に輝いてたよ(笑)