メロウ

「分相応のことをしろッ」
「は、はい。僕ァ、その、こそこそ卑屈に適当なことをします」

益田さんってたまらない。前々からたまらなかったけれどこのお話では特に。それに。このお話のなかのひとたちが、なんと言ったらよいのだろう、わたしたちの方に降りてきている気がする。探偵ですらも。ああ、そっかこのお話では探偵が探偵ではなかったから。ひととひととのお話はもどかしくて醜くてどうしようもなくかなしい。それでいて優しくて美しくて。やっぱりかなしい。

Φは壊れたね (講談社ノベルス)

Φは壊れたね (講談社ノベルス)

美しくない ような気がする。無理矢理の公式のような、意味をなさない公式。でも。きっとこれから。海月くんと山吹くんの男の子同士のそっけなくてわかりあってる様とか加部谷さんの愛らしさとすこしの闇の匙加減。それに萌絵ちゃんに犀川先生。ケーキ大好き国枝先生まで!ケーキが万能だという事実がすばらしくおかしかった。こういう瞬間にどんどん皆がいとしくなっていくのだ。
まっくら、奇妙にしずか

まっくら、奇妙にしずか

奇妙な本でした。まるで迷路みたい。どこまでも緻密な線を追って迷子になったの。うら寂しくて奇妙に落ち着く本でした。