とっておき

演出家・鴨下氏のとっておきのお話シリーズより。

 鴨下氏は、中 丸をこう評した。「舌を巻くほどうまい。俳優としてのセンスがある。高いところが苦手で、臆病なところがあって、ドラマでもなかなか自信が持てないようだが、かえってそこがいい」中 丸が泣く場面。台本で、セリフ以外の情景を書いたト書きには≪洗面所に入ってきて泣く≫とだけある。鴨下氏は、「立って泣くのは大変だから、最初は自分の太股に手を当ててから、どこかにつかまったらどうか」とアドバイスをしたという。すると、中 丸は洗面所に入った途端、まず大声を上げて泣き始め、両手を太股に当て、倒れるように物をつかんだ。声をうまく使い、泣く行為を際立たせたのだ。(ZAKZAK

お誕生日を祝ったら きてしまうきてしまう。すぐにきてしまう。14日が。10分程の長いロールを回す濃密なとき。芝居の醍醐味と緊張感。多才でクレバーなひとの本や、第一線で活躍されているドラマ人の清廉で美しい哲学に触れて、彼は何を思っただろう?あああ。