そうかもう君はいないのか

わたしたちは彼女とお別れをする準備を始めてた。あなたは本当に贅沢な猫よって そう言いたかったから。
あと3ヶ月の命ですってドラマでしか聞かれないセリフだと思い込んでいた新しい年のはじまりのできごと。首が折れてしまいそうなくらい見上げた一途な瞳のおねだりであんまりにもせっせっと食べるから本当に病気かしら?って笑いながら疑って。もしかしたらもしかしたらわたしの猫は長生きしてそのうち化け猫になっちゃうんじゃないかしら?と甘い期待まで。彼女におやすみなさいを言ってから数時間後、そわそわとベッドから這い出したわたしのことちらりとでも見てくれることはもうなかった。わたしは彼女のにおいが大好きだからいつものようにおなかに鼻先をうずめてくんくんしたら、まだ暖かくてそれが泣けた。ひとりで逝かせてしまったってかなしくてかなしくて。ごめんなさい。もうすこしそばにいればよかった。だいすきなのに。ちゃんと見送ればよかった。それだけがいまとてもかなしい。

ごめん。だいすきなの。さよなら、だいすき。